鼠径ヘルニアとは (鼠径ヘルニアの手術希望日は電話予約可能です.その場合,1週間以内に術前検査のための来院が必要です.)
■どんな症状?
立った時やおなかに力を入れた時に,太股の付け根(鼠径部)のあたりが膨らみます.
時に鈍痛や引きつれ感を伴うことがあります. 一般に『脱腸』といわれる病気のことです.
■なぜ起こる?
鼠径部の筋肉層の脆弱化により,おなかの中の臓器が腹膜をかぶったままその弱い筋肉の間から突出してくる病気です. 加齢や職業的に腹圧をかける(スポーツ選手・重いものをもつ人)ことが原因となります.
■治療法?
幼児期のヘルニア自然治癒も望めますが,大人の場合は手術しかありません.
■手術方法は?
◇麻酔
本院では日帰り手術を前提としますので,安全性と術後の負担を考慮し全身麻酔を第一選択としております.知らないうちに手術は終了し,覚醒もスムースなため,2時間ほど回復室で休まれた後に帰宅できます.また,全身麻酔のリスクのあるような方には硬膜外麻酔で行うこともあります.
◇手術
弱くなった筋肉の穴を周囲の丈夫な筋肉を寄せて塞ぐ従来法では,術後の安静が必要になりまたひきつった感じが続きます.
本院ではつっぱりがないことからTension-Free(テンション・フリー)と呼ばれる方法を採用します.
テンション・フリーは2通りの方法から選択します.第一選択はKugel’s patch法(クーゲルスパッチ法)と呼ばれるもので,筋肉の穴よりさらに深い層(腹膜の前)にメッシュをひいて穴を裏側から補強するイメージとなります.それ故に腹圧に強く,早期に運動を再開できるメリットがあります.前立腺の手術をされたような方はMesh & Plug法(メッシュプラグ法)を用います.ポリプロピレン性の傘状のプラグを開いた穴に押し込み,その上の筋膜にメッシュを固定して補強します.その他,若い女性の方でまだ筋肉に緩みのないような方は,メッシュを用いずに内鼠径輪縫宿術という方法を行うこともあります.
■手術のあとは?
2時間ほど回復室で休んでいただき,問題がなければ歩いて帰宅していただけます.
術翌日に傷のチェックのため来院していただき,約1週間後に再度傷をチェックして終了です.
シャワー,入浴は翌日から可能です.
個人差はありますが,軽い運動やデスクワーク程度の仕事であれば翌日から可能です.
2週間をすぎれば激しい運動も可能となります.
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